「めぐみ」 引き裂かれた家族の30年 2007.12.14 3.5点 市の人権啓発事業の映画「めぐみ」を見た。
パソコンで日本語字幕を付けてもらったので、しっかり内容もわかった。
製作がアメリカなので、お涙頂戴にはならず、拉致の経過もきっちりわかりやすく作ってある。
横田さんたちに歳月は非情に積み重なり、そして、拉致問題はなんら解決していない、と改めて思う。
このドキュメンタリー映画の監督は「ピアノ・レッスン」などで有名なジェーン・カンピオンである。
「グッド・シェパード」 2007.11.12 4.0点
最近は肩の凝らない楽しい映画ばかり見ているので、たまにはシリアスなものも見なくっちゃ、で、アメリカ合衆国CIA誕生のドラマを。(↓ネタバレあり)
3時間近い長編であるが、退屈もせず、最後までしっかり見られた。
内気な青年役のマッド・デイモンは過酷な任務の諜報員にピッタリだけど、大学生の息子の居るパパ役にはちょっと貫禄が足りないような。老け役ってやっぱり難しい。
美貌で孤独な妻役のアンジーは様になっていた。
筋がわからないところがあちこちあって、彼はだれ?あれはどうなん?と細かい疑問がいくつも残った。ひとりで見に行ったので、意見交換もできなかったし。冷戦後のアメリカ史を知っていればもっと面白いかも。
結局、息子の婚約者を突き落としたのはどっち側なんだろうな。
「ヘアスプレー」
2007.11.1 4.5点
どんなに悲しい辛い場面でも突然踊りだして、ポールをにぎってクルクル回って歌うミュージカルって、はっきり言って好きじゃないのだけど、ヘアスプレーはミュージカルだからこその楽しさである。
音楽が聞き取りにくい私でも充分にリズムにノレた。
ダンス大好き、おデブでチビのトレイシーがテレビのダンス番組で売れっ子になり、ハンサムな彼氏(めっちゃくちゃ正統派のハンサムボーイ)を射止めるサクセスストーリー。
60年代初頭のアメリカの黒人差別をからませて上手くまとめてある。
パパ役が太目ボディスーツを着込んだ女装のジョン・トラボルタなのがまた楽しく、父役がドラキュラの当たり役のクリストファー・ウォーケンで可笑しさに輪がかかる。
しかし、なんといっても、60年代のファッションがとっても懐かしい。
ヘアスプレーでカッチリ固めたヘアスタイルに、ウエストをきゅっと絞った花柄フレアワンピースを着た女の子たちのダンスシーンはいっしょに踊りだしたくなる。若かった頃、もっと、ゴーゴーでも踊っとけば良かったなぁと。
「幸せのレシピ」 2007.10.3 4.0点
ニューヨークでシェフとして腕をふるっているケイト(キャサリン・ゼタ=ジョーンズ)は、料理にこだわるあまりに、しょっちゅうお客ともめたりして、店主からカウンセリングに通うように言われ、治療先でも料理談義。
そこに、新しい料理人ニックが入ってきて、また、ひと悶着。そんなときに、妹が事故で亡くなり、姪のゾーイを引き取る羽目になる。
心を閉ざす姪、料理以外には万事に不器用なケイトが少しずつ姪とかかわり、ニックと気持ちが通じるようになっていく。
ゾーイのためにリビングにキャンプシーンを設定したりして、楽しむ3人。
料理は味だけではなく、シチュエーションも大事なのね。
ラストは3人で小さなレストランをオープンしてハッピーエンド。
よくある、ありきたりのできすぎた物語だけど、もうひとひねり欲しいところだけど、肩がこらずに楽しめるラブコメディ。ついでに出てくるお料理も楽しめる。
「ミス・ポター」 2007.9.8 4.0点
イギリスの風景につられて見に行ったような映画。
ピーターラビットの絵本の作者ビアトリクス・ポターの半生を描いている。
一応恋と波乱に満ちた…ということになっているが、ストーリー的にはそうでも気持ち的にあんまり波乱は感じ取れなかった。
たぶん、ホンワカしたレニー・ゼルウィガーがニコニコとふくよか過ぎてベアトリクスの内面の葛藤や悲しみが伝わってこなかったのかなぁ。
もっと、神経質で陰のある俳優のほうが良かったかも。
後半の湖水地方に移住してからのベアトリクスは生き生きとして風景に溶け込んでいたけれど。
19世紀後半の時代の生成り色の衣装や木製家具調度も見ごたえがある。
イギリス好き、絵本好き、な人にはおすすめです。
「プロヴァンスの贈りもの」 2007.8.29 4.0点
ロンドンの辣腕トレーダーのマックス(ラッセウ・クロウ)が南仏に住んでいた叔父の遺産(農園と屋敷)を処分しようと、プロヴァンスにやってくる。
お金持ちなのに、ちっちゃいてんとう虫のようなレンタカーで走り回り、片手にケータイを離さない仕事中毒がのどかな田舎風景に少しずつ癒されていく?美女が居て、幻の美味しいワインがあったからかも。
めちゃくちゃハンサムは俳優が演じると、ちょっと、クドイかもしれんけど、ラッセル・クロウだから味がある。
少年時代、叔父と過ごした夏休みの思い出などをはさんで、ブドウ畑管理人夫婦や叔父の隠し子?のアメリカ娘、フランス美女と恋におちて…
小さなエピソードや登場人物も楽しく、最後まで飽きずに楽しめた。
プロヴァンスの田舎生活に憧れる人は絶対おすすめ。
しかし、マックス、このまま、プロヴァンスでじっとしていられるかなぁ。
けっこう、退屈するんじゃ?
「不都合な真実」 2007.8.22 3.5点
この映画はやはり自国アメリカに向けての啓発が大きいのだろうね。
氷河の後退も、大雨洪水・干ばつなどの異常気象も、今のところ、日本では顕著ではないし、アメリカに比べると二酸化炭素の排出も少な目の日本はまだ大丈夫かな?と思ってしまう。
二酸化炭素の全排出量の30%は生活のための焼畑や森林火災である。
映画の最後のクレジットと共に出る地球温暖化に対するいくつものメッセージ、
「木を植えよう」「公共交通手段を利用しよう」「両親に地球を守ってと言おう」などの中に、アフリカのことわざ、「何かを祈るときは行動もすべきである」というのが印象に残った。
そして、今、行動すれば、かならず人類はこの温暖化を食い止めることができるだろうという希望を持たせてくれる。
しかし、歴史に「もし」は禁物だけれど、もし、2000年のアメリカ大統領選挙でアル・ゴアがブッシュ現大統領に勝っていたら、現在のアメリカはどうなっただろう?と思わずにはいられない。(ブログより転載)
「天然コケッコー」 2007.8.15 4.5点
島根県のド田舎の全校生徒たった6人の小・中合同学校に通う中2のそよちゃん。
「わしぃ、わしは…しちょるけん」と方言丸だしで、下級生からも弟からもそよちゃん、そよちゃんと慕われている。
ゆったりと時が流れるのどかな田舎の学校に、東京から同級の転校生がやってきた。
子どもたちが大騒ぎするなか、「イケメンさんじゃぁ」と目を見開いてボソッとつぶやくそよちゃん。
転校生の大沢君はあまりにの田舎に戸惑いながらも、純朴なみんなのペースに巻き込まれていく。
ドラマチックな場面といえば、7人そろって海水浴に行く道の、ちょっとしたエピソードと、東京への修学旅行の様子くらいしかないないのに、そよちゃんの気持ちにぐいぐい引き込まれてしまうんだよね。
ニッポンの四季、心のふるさと、郷愁あふれる風景が美しいだけの田舎じゃない、リアルで生活感あふれる田舎の佇まいもとっても良い。
日本のどこの田舎にもありそうな、でも、きっと、こんなのどかな学校はもはやどこにもないようにも思う。
中3になったそよちゃん、大沢君が東京の高校へ行ってしまうかもしれない!田んぼのアゼに座っての大沢君とそよちゃんの会話が泣かせる。
まだ恋とはいえない気持ち、でも、居なくなってしまったら・・・という切なさにポツリポツリと話すそよちゃん。
大沢君が着ているコート欲しさに握手のように軽く「チュー」しちゃって、こんなはずでは?こんなもんかいな?という怪訝な表情のそよちゃん。
お祭りの夜、悪気はないのに、「ここの床屋はカッコ悪いし」等、ぽろっと率直に言っちゃって、ウチが床屋の子どもたちから総スカン喰らってしまったり、こういう気持ちよおくわかるね。
私もついつい考えなしにパパッと口に出してしまうから。
そよちゃんの心の動きは、これは原作のコミック版のほうがうんとよく表現されているのでは?とコミックのほうに気がそそられた。
やっぱり、くらもちふさこはいいわぁ。
梅田ガーデンシネマで展示中のロケ使用グッズ
「あるスキャンダルの覚え書き」 2007.6.23 3.5点
全然期待しなかった映画だけど、悪くはなかった。
サスペンスなストーリー、最後までどういう展開になるのか目が離せず。
英国のある高校にやってきた新任美術女性教師と生徒とのスキャンダル。
それを知った高校の重鎮である年配のオールドミス教師。
孤独なオールドミス役のジュディ・デンチの演技が深くて怖い。
「しゃべれども しゃべれども」 2007.6.2 5点
私の耳がもっと良く聞こえたら、生落語を聴きに行けるのになぁ。
「しゃべれども しゃべれども」はだいぶ前にちょっと評判になった小説(読んでないけど)で、映画はぜひ見たかった。ちょうど、きのうの夕刊に限定日本語字幕付上映の広告が載っていて、急遽大阪市内まで遠征。速攻ひらりんの復活だ。
落語修行中の今昔亭三つ葉の元でひょんなことから3人相手に落語教室が開かれる。
無愛想で笑わずの美人、大阪から引っ越してきてしゃべりでからかわれている小学生、話下手の元野球選手。
それぞれの個性と三つ葉のやり取りが笑えて面白くてほろり。
生意気で元気な大阪弁の小学生が可愛いし、祖母役の八千草香の下町の品の良さががいいなぁ。
2時間弱夢中で見てしまった。
言葉を使ってしゃべることってやっぱり大切なのだ。
しょうもないことはペラペラしゃべれるけど、ここぞというときに自分の言葉が出てこない私も他人事ではない。
「クイーン」 2007.5.26 4.0点
英国王室のエリザベス女王のドキュメンタリー風ドラマ。
よくぞこれだけ似た俳優を集めたもんだ。
シンプルな英国モードを上品に着こなして、さすが。
エリザベス女王とブレア首相のやり取りはまるでホンマもんのようで、見ごたえたっぷり。
私って、けっこうダイアナ妃が好きで、来日の時の特集雑誌を買ったりした。ダイアナの悲劇も、ついこの間の出来事だったような気がする。
ブレア氏が首相になったのはちょうどこの事故のときだったのだ。
国民と王室との関係を上手く取りまとめて人気が出たのかな。
そのブレア首相も政権の座を降りたが、女王の権威と苦悩のクイーンは死ぬまで降りられない。
「サン・ジャックへの道」 2007.4.14 4.0点
金の亡者の会社社長の長男、しっかり者で辛らつな高校教師の長女、気のいいアル中の次男。
3兄姉弟の母親が遺産相続したいなら、フランスからスペインのサンまでの徒歩巡礼を言い渡す。
巡礼ツアーにはこの3兄弟の他に、読み書きができない男子を含む男女高校生4人に病後の女性、ガイドの計9人で延々1500kmの旅に出発。
少しずつあらわになっていくそれぞれが抱えた家庭環境や事情に、ひとりひとりの願望や深層心理がシュールな映像になって出てくるのが、なんとなく笑える。
仲の悪い兄弟はケンカしながらも、最後はお互いを認め合うようになり、めでたく巡礼を果たす。
自己を見直すための巡礼、ほとんど四国88ヶ所歩き遍路みたいなもんだけど、スペインの巡礼道は荒涼とした原野を歩いていく。
ロードムービー大好きな私には楽しめるヒューマン映画だった。
「ホリディ」 2007.4.3 4.0点
失恋失意傷心の2人、キャメロン・ディアス(ロス在住)とケイト・ウィンスレット(ロンドン郊外在住)が扮するキャリア女性がクリスマス休暇にお互いの家を交換、その地で新しい恋に出会ってハッピーエンド。
ワクワクうふふ、安心して楽しめる大人のラブコメに仕上がっている。
ロスは興味はないけど(行ったことないくせに)イギリスの田舎風景が懐かしい。
「タイタニック」のヒロインのケイト・ウィンスレットが冴えない役のときはどこにでもいそうにふつうっぽく、黒のドレスを着ると俄然見違えて。
やっぱり女優だね。
よく日本映画で、大物俳優がチョイ顔出しするのがあるけど、ダスティ・ホフマンがヒョイとワンシーン出てくるのが可笑しい。
「あなたになら言える秘密のこと」 2007.2.25 4.5点
覚えにくいタイトルで、ええーっと、あれ、あれ、あなたが?あなたの?間違ってばかりいた。
ラブコメみたいなこのタイトルちょっと軽過ぎひん?
実際はヒューマン恋愛反戦ドラマといえなくもない。
あとから思い返せばかなりテーマは重いけれど、見ている間はそんなことはなく、先を読めないハラハラもあり、私のようにヒューマン系映画の好きな人にはお勧めかな。
コペンハーゲンの工場で働く孤独なハンナが真面目すぎる勤務状態のため、無理やり1ヶ月の休暇を取らされて、やってきたのがスペインの海岸町。
最初地名などもよくわからなくて、いったい、どこの映画かと・・・
海上にある石油掘削施設で起きた火災事故で怪我をした患者の看護師を志願して海上の閉ざされた掘削基地にやってくる。
何も話そうとしないハンナと、一時的に目が見えなくなっている男(ティム・ロビンス)が少しずつ心を開いて、明かされていく過酷な秘密。
でも、最後はハッピーエンドなのがうれしい。
悲惨な体験した者しかおろかな戦争を伝えるものがいないという今のメディアはやはりおかしいと思う。
監督と主演女優が同じのひらりん映画評 「死ぬまでにしたい10のこと」もよかったので、急遽都合をつけて見に行ったけど、大当たりだった。
「ショーシャンクの空に」1994年で果敢に脱走したティム・ロビンスも、大きすぎる図体をもてあましてるようなずいぶんなおじさんになっちゃったね。
「それでもボクはやってない」 2007.2.6 4.0点
ちょうど日本語字幕スーパー付で「それでも
ボクは やってない」をやっていたので足を伸ばして大阪市内まで見に行った。
大ヒット作の「Shall We ダンス?」から11年ぶりの周防監督の映画。
痴漢冤罪事件の内容、最初から最後まで裁判を中心にシリアスな話が続くけれど、ぐーっと最後まで引き込まれてしっかり見られた。決してハッピーエンドでもないけど、後味は悪くない。
手錠や腰綱というのはいかに屈辱的なことか。
難しい用語もいろいろ出てくるが字幕のおかげで漢字がよくわかる。
懲役3ヶ月とは言わないのね。懲役3月(ゲツ)という。
ふつうの人間が何もしていないのに、いきなり手錠をかけられて無実を主張すれば、懲役まで言い渡されて…
裁判というのは一種の駆け引きだから、まじめに答えていれば真実は明らかになるなんていうのは大間違いで…
裁判員制度なんかができて、このくじに当たったら庶民はどうすればいいんやろう。
日本の裁判の現状を考えるにはとてもいい映画だと思う。
映画なので脇役に主役級が揃っているが、肝心の上手い主役は誰なん?新人?最後のクレジットを見て加瀬亮だった。
「モンスーン・ウェディング」 2007.1 4.0点
市民会館で見た映画。
インドの娘の結婚狂想曲。
|