自転車で行こう 12/6 3.5点 枚方市の人権週間イベントでの上映。
障害者モノにありがちの感動モノでないところがいいとのことで、一般公開されていたときから見たかった映画。
大阪市生野に住む在日韓国人であり知的障害者のプーミョンくんが、持ち前のつぶやきと純情なる強引さでもって、作業所の仲間や街の人たちと対話していくドキュメンタリ映画。
作業所の物品セールス係として生野の街中を自転車でスイスイ縦横に走りまわっりながら、
「○○○せえへんのん?」「○○のほうがええのとちゃう?」
ほんわりするようなやさしい大阪弁が心地よい。
付き合わなければ何も始まらない。何もわからない。
急速にネット社会が進んでいて、PCでなんでもわかったような気になってしまうけど、直に会ってコミュニケーションするという原始的なことがすごく大事なんやね。
丸刈りのプーミョン青年、会場で自分の描いた絵のグッズを売っていましたが、シャイな野球少年風でした。
うろんさんの「エイガノコト」にも載っています。
http://www5b.biglobe.ne.jp/~uronn
僕はラジオ 11/5 3.5点
実話に基づくお話。(実話モノが好きだな、私は)
1950年代?アメリカの地方都市のハナ高校でラグビーの名コーチ(エド・ハリス)が、練習場の周りをうろついている知的障害の若者を仲間に入れてやる。いつも大好きなラジオを聞いているので彼にラジオというあだ名をつけ、ボール運びをしながらみんなと触れ合っていけるように手助けをしてやる。時には娘のことよりもラジオのことを気遣うコーチ。最初はギクシャクとしながらも、明るくて純粋なラジオは高校生活を楽しみ、次第に地域の人たちとも交流を深めて、自然に街になじんでいく。
いわゆるヒューマンストーリーだけど、実話に基づいているから、それほど劇的な感動モノになっていないのが良い。エド・ハリスを知ったのは映画「アポロ13号」のカッコいい管制官役。年取ってこういう渋い役もいい。奥さん役が「愛と青春の旅立ち」のデブラ・ウィンガー。まだまだ若々しい。
モーターサイクル・ダイアリーズ 10/25 4.5点
アルゼンチンからベネズエラへ、貧乏な若者2人の南米大陸縦断のロードムービー。
ロードムービー大好きの私はこれだけで大満足。製作はロバート・レッドフォード、監督は「セントラルステーション」(これも大好きなロードムービー)のウォルター・サレス。
「これは偉業の物語ではない」と最初にプロローグが流れる。
偉大な革命家のチェ・ゲバラの若き日の1ページときくと、どんなに、こ難しい思想的な映画なのかと、引いてしまうが、彼と友人の青春の旅物語であり、結果的にその学生がゲバラであったというだけだ。
医学生エルネスト(ゲバラ)と陽気なアルベルトは、おんぼろバイクに2人乗りして、ブエノスアイレスから南米大陸の北端のベネズエラのらい病院を目指す。旅の向こうに何が待ち構えているか、自由と希望に胸膨らませて、バイクを走らせる2人がまぶしい。バイクが壊れて、徒歩で砂漠を歩いたり、船やいかだでアマゾン河を上り下りして旅は続く。貧しくも陽気なラテン人、搾取されるインディオ、奥地の病院で働く堅物で献身的な修道女。持病の喘息に苦しみ、恋人と別れ、ホラをふいたり、深刻になったり、広大な自然、人々との出会いが旅とともに綴られてゆく。
20世紀半ばの南米における差別、貧富、国家、病気、あらゆる問題が包括されているが、映画はエルネストの目を通して、淡々と映し出していく。
らい病院で医療ボランティアとして働くエルンストは、24歳の誕生日を川向こうの患者達と祝うために、危険な夜の川を泳いでいく。この無謀さこそが若いという特権なのだ。
どこか遠くへ続く道をひたすら進み、知らない街をブラブラと歩き回ることは、いつの時代でも、年齢には関係なく、心躍ることなのだ。
ゲバラ役の俳優が華奢でハンサム、改めて見ると、若き日のゲバラもかなりハンサムだったのね。このあと、エルンストはどのようにカリスマ的な革命闘士になったのか、ちょっと、興味がわいてくる。
すべては愛のために 10/14 3.5点
市の女性映画イベントで上映されたもので、1月にロードショー公開されたもの。
英国の社交界の難民チャリティーに出席した美貌のお金持ち夫人(アンジェリーナ・ジョリー)が世界の難民救援活動をしている医師と劇的な出会いをして魅かれていく。
それが、きっかけで、エチオピア、カンボジア、チェチェンと各地の紛糾地域に出かけていって、国連活動に従事。
悲惨な難民のドキュメンタリータッチのシリアスドラマが、突然、10年をかけて医師に愛を捧げるメロドラマになってしまったりで、いったい、この映画のテーマは難民モノか恋愛モノか?という疑問はあるけど、ま、退屈しないで、2時間集中できた。
最後はアンハッピーになり、やっぱり、メロドラマで終わってしまったのが残念。
恋愛のほうはちょっと控えて、難民救済ヒューマンドラマに仕上げるか、
いっそ、ランボーみたいに、活劇風にまとめたほうがメロドラマが光るような気がする。
主役のアンジェリーナ・ジョリーは実生活でも国連難民高等弁務官事務所の親善大使をしているらしい。
モナリザ・スマイル 9/3 3.5点
ヤフーの映画デビューで調べて、これがいちばんマシそうだった。
1950年代の初め、保守的な名門女子大に進歩的な美術教師=ジュリア・ロバーツが赴任してくる。
結婚して良き家庭人となることが究極目的の女子学生や大学理事からの嫌がらせにもめげず奮闘する。
ストーリーとしては目新しさもないけれど、4人の学生の個性も描かれ、昔のファッションや流行が楽しめて飽きずに最後まで見られて、マイナス部分がなくて、けっこう良かった。
今じゃ、喫煙シーンなどご法度なのに昔は女学生もスパスパ吸ってたのね。
慎ましく貧しかった昭和30年頃の日本と比べると、オール電化生活のアメリカは何と豊かだったんだろう。
ジュリア・ロバーツって口は大きいし、ヒョロヒョロの大女で、美女系じゃないと思うのに、印象に残る俳優さん。でも、どっちかっていうと、やっぱり、もっと、インパクトの強い派手キャラのほうがうんと引き立つ。
トスカーナの休日 8/6 3.5点
「休日」流行りである。邦題の休日という語感からは一時の休みの出来事というように思うのだけど、ウォルターもトスカーナもそこに住み続ける話なので、ちょっとずれてるような気がしないでもない。
2年前に訪れたイタリアトスカーナの風景の再現を期待してたんだけど、ほとんど映らなくて残念だった。
夫に裏切られて思いもよらぬ離婚に至った作家・書評家のアメリカ女性(ダイアン・キートン)が傷心のイタリア旅行へ。
旅の途中のトスカーナ地方の古い屋敷=廃屋に一目ぼれして衝動買いしてしまう。
そして、村の人々と改装修復しながら、イタリア男との恋愛も絡めて次第に立ち直っていく物語。
原作はアメリカでベストセラーになったらしいけれど、「マジソン郡の橋」と比べると、筋としては他愛もないもので、よくある話というような内容です。
イタリア男が言いそうなセリフ、アメリカ女性が言いそうなセリフと、言い合いながらダイアンとイタリア男が戯れるのも、キャサリン・ヘプバーンの昔の映画「旅情」を思い出す。
ダイアン・レインがひとり素敵だ。かわいくて知的で健気で上品で、着古したセーターをラフにダボッと着てるのもかっこいいし、フレアたっぷりの真っ白なドレスに黒のベルトをキュッと締めて、郵便屋さんのバイクに横すわり姿もなんかイタリアっぽいのね。
ダイアン・レイン見てるだけで良かったなーといっただけのものだったけれど、平日にもかかわらず、映画館は前から2列目の席まで埋まっていた。ほとんど中高年女性ばっかり(もちろん私たちもそのお仲間です)
「冬ソナ」が流行るはずか…
ウォルター少年と夏の休日 7/20 4.0点
なんとも不思議な映画。先入観としては、親に見捨てられた少年と老いた伯父さんたちとの心温まるノスタルジックなヒューマンストーリーだと思っていたけれど、かなりイメージと違った。
1960年代、勝手気ままな母親に無理やり、大伯父さん2人が住むテキサスの田舎に預けられることになってしまったウォルター少年。無愛想で頑固ですぐに銃をぶっ放す乱暴な伯父さん宅には、出所不明の大金が隠されているという噂で、それを探せと母に言い含められる。
伯父さんが語る波乱万丈の過去の人生は果たして真実なのか大ボラなのか。
しんみり系かと思えば、アラビアンナイト風活劇が出てきたり、原題の「secondhand
lion」=中古のライオン=年寄りのライオンとトウモロコシ畑で戯れたりするんだからね…
ファンタジーともいえるようなところもあって、「な、な、なんや、これは!?」
(ちなみに私は、同じ作り物でもホラーとか活劇系はOKでも、ファンタジーはベタベタ甘いばかりで好きではありません)
展開が読みにくくても、一応ちゃーんとつじつまは合ってるし、絶対に嘘やっていうほどの胡散臭さもなくて、最後は上手く収まって、さすがに「映画にしたい脚本bP」というのもうなずける。
伯父さん役のロバート・デュバルとマイケル・ケインもぴったり。
6種類の犬とブタ君の表情も楽しく、ちゃんと最後のクレジットにキャスト名として本名?が出ていた。
ただ、少年役がねぇ、なんとも中途半端なのだ。特に冒頭場面で助手席の戸惑い気味の顔は達観したような年寄りくさい表情で、「ママ、どこに行くの?」って言うので、「この子、いったい幾つやねん?」って突っ込みたくなる。顔とセリフが完全にチグハグ。車から降りて背丈を見るとやっぱ少年ウォルターなんだけど、14歳の少年にしてはえらく老け顔なのね。せめて、ハリーポッターくらいの少年っぽさがあればいいのに。
ま、ラストで少年らしい笑顔に救われます。
映画は成長したウォルターが過去を回帰…から始まる。この辺は映画「スタンドバイミー」と作りがよく似ている。
伯父さんに育ててもらったウォルターが大きくなって何になるかとの予想は作家かな?と思ったけれど、
(それじゃスタンドバイミーと同じだわね)イラストレーターになったのです。ちょっと外れたか。
「それが真実かどうかは問題ではない。それを信じるかどうかということだ」というセリフはグンときます。
疑いの気持ちが少しでも芽生えたら、信じるということはとても難しい。
ともかくも、見終わってハッピーになれる映画はだぁーいすき。
少年モノ、ヒューマン系、プラスおとぎ話風、ハッピーエンドが好きな人にはオススメです。
|