お天気が良くないので、登山は5日にするつもりでゆっくりと家を出る。自宅から4時間、駒ヶ根インターのあたりで激しい夕立にあい、車は滝の中を泳ぐがごとく。USJのジュラシックパークの急流すべりよりこわーい。 ロープウェイ乗り場まではマイカーは入れないので路線バスに乗り換える。1車線の狭いクネクネ道をバスはグイグイとのぼり、器用に対向バスとすれ違う。網棚のあたりでナイロン袋の束も揺れている。こんなところで酔ってたら、空気の薄い高いお山になんか登れへんで。 午後も遅いからロープウェイも並ばなくてすんだが、混むと3時間待ちなんてこともあるそう。待ってる間に帰宅できるってほどだよ。 ロープウェイは標高差950mを8分で登って2612mの千畳敷へ。あーあ極楽、楽チン。昨年の御嶽山といい、こういう楽して登れるところしか行かない方針です、我が家は。 ロープウェイの下の谷に沢や滝が見える。ロープウェイに乗らずにここをよじ登った人がいるそうな…イルカさんのお便り紹介。 私が登った時は風雨でした。やはり8月で、もう10年ほども前のことです。 |
憧れの高山植物の花たちが私の足元に群れている。これはミヤマキンポウゲだったかな。遊歩道の縁にはいつくばって、デジカメを接写する。近寄りすぎるとピンぼけになるので20センチを目安にカメラを構える。花の名前がわかると撮るのも見るのも楽しいけれど、名前をこの頭に記憶させるのには苦労する。ブツブツとおまじないのように唱える。タカネグンナイフウロ…グンナイフウロ…グンナイグナイベイビー ♪ オッ、ちがったわ。 いつの間にやら、かばん持ちの夫もいなくなり、ひとりですっかりカメラマン気取りのひらりん。 満天の星が見たかったけど、空は暗くて星も見えない。 翌朝、寝坊の私も5時過ぎに目覚めた。カーテンを開けると、オオッ!朝焼けの木曽駒! |
ナップザック2つにペットボトルとパンと雨具をつめて夫と息子に背負わせる。 そんなに寒くはないが、風がきつい。7時半、往復4時間ほどのトレッキングに、出発。 早くもロープウェイから軽装の人がたくさん出てくる。 山と反対側を見渡せば、雲海の果てに南アルプスが連なっている。その後ろに台形の頭がちょこっとのぞいているのは紛れもなく、ニッポンの山、富士山である♪あーたまを くもーの うーえに だーし 昨日歩いたお花畑周遊コースを巡っていく。雨にぬれた花がキラキラ光っている。 山際にたどり着いて急なのぼりが30分ほど。でも、ぜーんぜん、平気。ちっともしんどくない。 |
真ん中へんに富士山の頭が… 左が宝剣岳 右が天狗岩(横向きの顔) スリル満点の鎖場 右は絶壁 ↑クリックすると大きく表示 |
ここから左手に行くとに宝剣岳(2931m) 右方向に登ると木曽駒が岳(2956m) まずは宝剣岳にアタック。岩の塊みたいな山なので、最後の登りは鎖を頼りに岩を巻くように登る。 片や、岩肌に鎖、片や絶壁。私が一番にゆく。怖いけどスリル満点。岩を攀じ登って頂上に到達。 頂上と言っても岩がそそり立っているだけで、10人も立てないくらい狭い。 御嶽山、乗鞍岳がそこに見える。 悪路ならぬ悪壁にてこずってるのか、夫がなかなか上ってこない。ようやく登ってきたものの顔が引きつっていたような… 下りの鎖場は余裕もあって、私はにっこり笑ってポーズを決める。誰かさんは岩肌にしがみつき、「山なんかどこが面白いねん!」とブツブツ文句言ってる。けれど、また、来年になったら、どこか連れて行ってくれるので〜す。 |
木曽駒が岳頂上へ 後方に御嶽山 チシマギキョウ 木曽駒が岳(2956m)山頂 ↑クリックすると大きく表示 |
木曽駒が岳までは緩やかな尾根道を登っていく。イヌでも登れるくらいのハイキング道だ。 てっぺんでパンとお茶で休憩。息子は祠のような売店でカップラーメン500円を買う。お湯も入れてくれて、ゴミも返せるし、安いんじゃない。 360度のパノラマを惜しみながら下山。帰路は花の写真を撮りつつ、ひとりまた遅れる。 例によって、デジカメの電池切れの警告が出る。最後のリンドウを撮るまではなんとしてもがんばっておくれや。 青い宝石、リンドウは? おおー、あった、あった。千畳敷のミヤマリンドウは小さい花びらを精一杯に開いて、短い夏の太陽の光を受けていた。 そして、8月も終わりになるとナナカマドが赤く色づいて、山は秋へと向う… 12時過ぎ、ロープウェイ、バスを乗り継いで麓の駒ヶ根市へ。 西日を浴びながら高速道路を飛ばす。だんだんと下界の蒸し暑さが戻ってくる。 (高山植物の写真は花だより7で) |