高根のユリ 白山 日陰のユリ 2000.7.29
「人工内耳友の会関西」会報
2000年秋号より転載
だれにでも、若いときからやっておけばよかったと思うことがいろいろあるものだ。特に身体を使うことは体力のあるうちに始めた方がよい。 私の場合は山に登ること。登るのなら1歳でも若いうちに限る、そのうちに…という余裕ももうあまりないし、と開き直って出かけるようにしている。でも、考えたら若かったときよりはうんと持久力はあるみたいで、今なら10kmくらい苦もなく歩ける。 白山南竜山荘キャンプ地へ 関西に「レッドベレーズ」という会がある。ここで白山登山の募集があった。私としては一大決心で申し込み、若い人ばかりでついていけへんやったらどうしようかと、少し心配したが、世は中高年の登山ブーム、アハハ、ほとんど私みたいな人ばかりだった。 聴障者6人と健聴者5人、大阪駅発夜行急行「きたぐに」に乗る。切符を買うときペアで買った5組のうち、1組だけ急行券も半額になっていて、「もうけたね」と笑ったが、後日、特急券はダメだが、急行券は半額になると判明(ペアの場合のみ) これは駅員も含めて知らない人が多いようだ。この私も知らなかった。 ハイキングで会った人もいるが、私には初対面の人ばかり。みな、手話ができるので聞き取りに神経を使わなくてもすみ、会話はスムーズにはずむ。 急行 「きたぐに」 は大学に入って始めての夏休みに、東北旅行に行ったとき以来でなつかしく、昔と変わらずリュックをかついだ人たちで満員であった。夜行用に空気枕は持参したが、目隠し(アイマスク)はたった何十グラムの重さをケチって置いてきたので車内の眩しさに寝付けず。 敦賀辺りを走っているときに、一度車内の蛍光灯が消え、「あっ、これでやっと寝られる」と思ったのに1分くらいでまた煌々。「なんや、これ?」 この、一瞬消灯の怪は帰路に鉄道オタク、いや、鉄道マニアの人たちから薀蓄を聞かされることになる。 北陸産線は電気が直流なので東海道線などの交流(逆だったかも)から、切り替えるときに消灯するのだそう。 夜明け前に金沢に到着。ここからバスで白山登山口まで2時間弱。ひたすら寝だめをしておく。麓は快晴。さすが晴れ女の私だけのことはある、とひとりほくそえむ。持参のおにぎりを食べ、耳掛けマイクをラペルマイクに替え、よっこらしょとリュックをかついで登り始める。 わずかでも傾斜があると汗が流れるが、慣れてくると脚は軽快に動き風が気持ちいい。大きなユリのようなつぼみがあちこちにあり、リーダーに聞くと「姥ユリ」とのこと、なるほど、咲いたものを見ると地味で 追記 (5/21) |