勝手にコーヒーブレイク(61)   《アレアレな会話》           
 

暑くて体も脳みそも溶けそうな夏がやってきた。話の筋がややこしいミステリーなんて読んでられない。真面目なノンフィクションも暑苦しいし、パラパラあっちめくって、こっちめくって、お気軽に読めてしまう本がいちばん。

ふつうにしゃべっているときは、ほら、アレアレとか、こうやって、なんとかするヤツとかで話が通じてしまうことも多いが、文章を書くときは、できるだけ正確な名称や言葉遣いで書かないと、話が伝わらないというか、「コイツ日本語知らんな」ってことにもなりかねん。もっぱら、パソコンでしか文章を書けない私であるが、そこそこ気は使いながら組み立てている。

何かの説明をするとき、元々、その名前を知らない場合は、調べたらええだけの話であるが、加齢に伴う「ど忘れ」というのがやっかいで、喉まで出かかってるのに出てこないもどかしさ、いらだち。そんなときは慌てず騒がず、思い出すまでひとまず棚上げして、あっち向いとくのがいいのか、古雑巾のような頭脳をギリギリ絞って思い出す努力をしたほうがいいのか、どっちが脳に良いのやろか。

私は思い出せるまで待ってる間もイライラしてくるから、すぐに調べる。パソコンのネット検索で、関連キーワードを片っ端から入れて目指す言葉を探したりする。ものの10秒、一発で正解が出る。パソコンは賢い。わたしゃアホです。

モノには全て名前がある。一つのモノの中の各部位にもひとつずつ名前が付いている。日常生活の身の回りのモノにも名前がある。ま、パソコン関係の専門用語は英語が多いので本当に覚えられないが、正しい用語を使わないと、疑問や問い合わせも正確に伝えられない。電話ならアレ、アレ…と、いくらでも補足のしようがあるが、メールでの説明はとても手間がかかる。

身近なモノの名前で、たとえば、生卵を割ったときの黄身の横に付いてる白い筋みたいなアレは、案外正確に答えられる人が居ない。正解は「@」である。私は「カザ」と思い浮かべて、惜しい!一文字間違いだった。「殻坐」という当て字が使われることもあるが、正解はなんとラテン語!「chalaza」カラザは栄養価が高いので捨てるのはもったいないということです。私は取り除くのが面倒なので食べている。すき焼きの割り卵など、なぜか、夫はしつこく取っている。

新しい靴下一足分を止めてある小さい金具は?正解は「A」。知らんね、これは。靴下止めのちっちゃい金具でええわ。

電柱の上に乗っかってる白いのは「B」、これは即答できた。

タクシーの屋根の上のアレは通称「C」

正式名は「社名表示灯」でSOSなど非常事態勃発のときはピカピカと点灯するんだそうだ。

金魚すくい網は「D」、そんな名前だったなぁと思っても答えられず。

散髪屋の店先のねじりん棒は「E」という。

野球帽のてっぺんに付いてる丸いアレF、背広の襟にある穴はG、うなじ(首の後ろのこと)の中央のくぼんでいる部分は…H

 身の回りのいつも見かけているモノの名前が載っていて、ふむふむと読めてしまった。

ま、アレの名前がわかったところで、別に覚えておこうと思わないくらい、たいして必要性のない名前なので、ホントに暇つぶしに読んだというだけで…

『アレの名前大百科』    みうらじゅん

PHP研究所

@カラザAパッチャーB碍子(ガイシ)C行燈Dポイ EサインポールF天ボタンGフラワーホールH盆の窪 

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