勝手にコーヒーブレイク(47)   《ふつうの幸せって?》

 政権が変わったとはいえ、不況、少子化と先行きの見えない不安な社会が続くと、だれでも何か、心や気持ちのよりどころが欲しい。頼りになるのは宗教であったり、家族、友人、お金、といろいろあるが、「そんなんあり!?」「これはないんちゃう?」と万事に醒めている私は宗教には縁がないし、自分が病気や困ったときしか家族を省みないし。お金だってあるにこしたことないが、お金さえあれば安心ということもないわけで。私なぞ、言葉に共感を覚えて、ふむふむ…そうなんやぁなんて、自分の行動や考え方にひとり納得している節がある。勝間和代の『言葉にすることが思考である』なんて言われると、コーヒーブレイクの駄文を書き続けている私だってまんざら捨てたもんじゃない?なんてついつい自信過剰になる。

 そんな多くの迷える現代人に、言葉で奮い立たせるのがカツマーこと勝間和代。『起きていることはすべて正しい』と言い切った切り口は、ファイト一発リポビタンDかオロナミンCのごとく、身のうちからむくむくエネルギーがわきあがってきそうだ。新聞、週刊誌などで彼女の言葉を目にすると、なんとなく元気になって、自分はなんでもできそうな気持ちになってしまう。なるほど、そういうふうに考えれば物事上手くいくのかと、私もメモをとるくらいだ。

 『夢は語り続ければ実現する』夢が叶わなかった人は自分の努力が足りないの?結局自分が悪いの?庶民から見れば、夢の頂点に達したかと思える有名人であれ、悩みは尽きない。落語家の桂枝雀もミュージシャンの加藤和彦もうつ病で亡くなってしまった。夢をかなえたところで幸せになる保障もないわけだ。売れっ子精神科医の香山リカの『しがみつかない生き方』の副題は「ふつうの幸せ」を手に入れる10のルール。(「死ぬまでにしたい10のこと」という映画もあった)本の項目や帯には〈勝間和代〉を目指さない。と書いてあるので、最初から【カツマーVSカヤマー】でベストセラーを狙っているといわれている。

 「どうしてこんなに努力をしているのに幸福になれないのか」と落ち込んでうつになる、というタイプは治療しやすく、今のままで充分に幸せであると本人が自覚すれば治る。傍から見ればふつうに仕事をこなしている女性が、この先どうなるのかと目に見えない不安にさらされ、どんどんマイナス思考にいってしまうのが現代のうつ症状なんだそうだ。実際、職を失うと即、ホームレスやネット難民に落ちる異常社会ではある。本の項目をあげると

◇恋愛に全てを捧げない

 この年になると、あんまりピンと来る話ではないが、恋愛至上主義は我が身を滅ぼす。恋愛がアカンかっても、仕事や友だちや家族や趣味やその他いろんなもんあるよという気持ちを忘れないこと。今は男性のほうがしがみつき度が大きくて、ストーカーになったりするけれど「恋愛はほどほどに」それが出来たら苦労ない・・・

◇自慢、自己PRをしない

 自己主張や自己肯定、自画自賛しないと、今の就活に生き残れないから、目に見える検定や資格に走って競争に競り勝って内定を得る。ひょっとしたら、私もブログやホームページで自慢のアピールを繰り広げているのかも。

◇すぐに白黒つけない

 二者択一思考は強くなれるかもしれないが、孤立する。良い悪い、勝ち負けと決め付けないで、あいまいさを認めながら、行動や活動も急がば回れくらいのほうが結果が出るのでは?

◇老・病・死で落ち込まない

 年を取ったら周りに迷惑をかけてはいけないという模範的考え方があるが、ええやんなぁ、迷惑や手間くらいかけたって・・・と、うつにはなりそうにもない楽観的な私である。

 その他、生まれた意味を問わない、仕事に夢を求めない、子どもやお金にしがみつかないなど、ゆるく生きる方法が載っている。って、やっぱり、指南の言葉に頼っているではないか。

「しがみつかない生き方」  香山リカ    幻冬舎新書

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