《デジカメのバイブル》  勝手にコーヒーブレイク  (25)     2004.08

若い頃からの趣味という言い方をするけれど、趣味も歳とともに変わってくる。
昔から本を読むことが大好きだったが、今はこれを書くときくらいしか読まなくなってしまった。

読むということは内容を記憶しながら続けていく作業だから、
憶えが悪くなってあらすじもおぼつかなくなるとちっとも面白くない。
たとえ忘れ果てても、その度にすぐインターネットで調べることのできるパソコンのほうが楽ちんなんである。
だんだんと地道にコツコツ努力を重ねるという姿勢からは程遠くなってゆく。
でも、人生は限りある。
とっくにUターンしてしまった身であるから、やりたいものを好きなものから手っ取り早くやってみてもバチは当たらんでしょう。

ということで、目下の関心事は写真である。
昔から写真を撮るのは嫌いじゃなかったし、今でも撮られるのは好きなほうだし。
だって、ニッコリと笑えば、並みの容貌でもそこそこまともに写るのが楽しい。
「作り笑いのし過ぎ!」と娘にバカにされようとも、
「歯並びが悪いから口を開けられない」という友だちの声になるほどと思いつつ、
毎晩アパガードでせっせと歯みがきに励む。笑顔は5歳若返るという。
笑えば長生きするという。でも、気持あってこそ笑顔も自然に出てくるのだ。

写真に注目したきっかけは、インターネットに自分のホームページ【ひらりんBOX】を開いたことが大きい。
ホームページはこまめに更新をすることが大切で、文章だけではなく写真の見せる要素も大きい。
だから、季節に合わせて花の写真を撮ったり、旅行のときは百枚単位の写真を撮る。
撮ったらその場で写りぐあいを確認できるデジカメは、結果をすぐに見たいというせっかちな性格の私向きだ。

『デジタルカメラ プロの使い方』は撮影からパソコン編集まで写真のポイントをわかりやすくきっちり書いてある。
「デジタル革命は写真に死を告げるどころか写真を生き返らせているのだ。
撮影技術をみがく意欲をかき立てれられ、写真を撮る喜びを再発見できる」

まさに、このとおり。私はデジカメによって写真の面白さを見出した。
「写真作品は、撮るものが心にイメージを描き、そのイメージの実現に向けて努力するところから始まる…それはコンピューターにはできない」

アマチュアが撮る旅の風景であろうと、我が子の成長記録写真であろうと被写体に寄せる思いは変わらない。
デジカメみたいなものは本当のカメラではないと頑強に思い込んでいる写真家はまだまだ居る。

「肝心なのは写真技術ではなく、写真で何を表現するかである」
写真の技術や知識がほとんどない私でも好奇心と意欲で写せるのだ。
「フィルムがデジタルになっても、写真の本質は変わらない」

という言葉は励みになる。
そうはいっても、上手に写したくば、やっぱり基本的な知識は必要で、
少しずつ本を読んで絞りの意味や役割、効果もわかってきたところだ。
最新のデジカメが次から次へと発売される。有効画素数の大きさで売り込んではいるけれど、
「画素数が問題になるのは写真を大きく引き伸ばすときだけ」
普通の写真大に印刷するなら300万画素で充分らしい。
キレイな写真が撮れたら、大きくプリントして額に入れて…と思うけれど、
それも最初のうちだけですぐに飾る場所もなくなるし、引き伸ばすことにも飽きてくる。
これだけ、自由に好きなだけいくらでも撮り放題になってくると、
いくら良い写真でもいちいちフルサイズ(A4)にプリントしようとも思わなくなる。

私はもっぱらホームページに使用するだけなので、わざわざ縮小して使っている。
ただ、画素数が多いと細かい部分をキレイに写しとれるし、少し暗い場所でも明るく撮ることができる。
3年前に買ったキャノンのIXY200万画素と昨年買ったオリンパスのカメディアウルトラズーム400万画素の違いは大きい。
背景をぼかして主題の花をくっきり写すという面白さに目覚めたのも2台目の多様な性能あってこそ。

「写真家にとっては、撮影後の写真の整理はひと仕事だ」
写真家でなくても、整理と保管は面倒なものである。
たいていの人は片っ端からどんどん撮って、パソコンに取り込んでひととおり見たらおしまい。
知人が写っていれば電子メールに添付で送って、あとはどうぞご勝手に。
なかなかプリントまでもいかない。
フィルム写真のことを思えば、保管の場所要らずではあるけれど、結局、撮っただけであとの活用はゼロだと、これもつまらない。

私は旅行の写真などはお店でプリントしてもらう。
いくらパソコンに残っているとしても、年取って寝たきりになったときは、枕もとのアルバムを繰って、遠い日の思い出をニタリニタリと懐かしむのだ。
もっとも、膨大なアルバムを置いておけるような、余裕のある場所で寝たきりになれるかどうかが大いに問題ではあるけれど。

デジタルカメラの写真はあとから、パソコンで修整できることはできるが、てまひまかけて修整するくらいなら、最初からきちんと撮るほうが結局は簡単。
デジカメもフィルム写真も上手な写真というのは
「こつは始めから正しく撮る」というひとことに集約される。

この本は、昨年の秋に出版されたものであるが、3月に朝日新聞の書評に載ったら、
すぐに品切れになって手に入れるのがおそくなった。日刊紙の威力恐るべし。
デジカメ初心者にも非常にわかりやすく、単なる図解テクニック本でもなく、
写真の心構えみたいなだけの本でもなく、そんじょそこらの「デジカメ徹底攻略術」のたぐいのマニュアル本よりは数段上等である。

タイトルから見るとプロ用の難しそうだと思われそうだが、デジカメ写真のバイブルともいえる貴重な本だと思う。
外国人の執筆であるが、パソコンメニューなどの参考図は全て日本語版になっているのも親切である。

デジカメは買ったけれど、埃をかぶりそうになっている人におすすめです。
ま、埃をかぶるくらいのデジカメなら、けっこう古いかもしれないし、撮ることに目覚めてしまったら、絶対に上位機種が欲しくなってしまうでしょうが。

私は結果的に2年ごとにデジカメを買いなおしているが、視野は一眼レフに。
いつもはいきなり手に入れて、とにかく触ってみて使っていくけれど、今度は最低限のことをきちんと事前勉強したい。
カタログなどを見比べて検討すればするほど、だんだんと欲しくなってゆくのは何もデジカメに限ったことじゃないけれど。
とりあえず、一眼レフ教室に3回ほど通って、自信がついたらデジタル一眼レフを買おうと目論んでいるところだけれど、さて…

『デジタルカメラ プロの使い方』  ロブ・シェパード
日経ナショナルジオグラフィックス社

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