《夜空を見上げて》  勝手にコーヒーブレイク (3) 1998.11

見出しのとおり、いつも勝手に書いている。けっこう面倒くさいのだけれど、ぐうたらな私も寄る年波とともに、文章力や思考力が鈍ってきているので、こんな駄文でも書いては虚しい抵抗をしているわけ。どこぞの大臣じやないけれど、ボキャ貧なのですわ。(ある時、テレビを見てたら、「オブチ」と聞こえたのであれれ…コプチとしばらく思い込んでいたので。グリコのエフクの二の舞になるところだった。人工内耳はありがたや…)

閑話休題。

夏からずっと雨の多い目が続き、空の具合ももうひとつ。ようやく秋冷とともにすっきりと晴れ渡った夜空を仰げる季節になった。でもね、秋の星空は四季のなかでは一番淋しく、めぼしい星がない。星空ならばなんといっても冬。三ツ星を含むオリオン座や昂を知らない人はいないだろう。昂は肉眼でも6個みえることから六連星(むつら星)ともいう。近眼の私の目には「ごちやごちゃ星」という呼び名の方がぴったりだけど…。

オリオン座は冬の星座と言うが、夏でも見ることができる。中学生だった私は試験勉強の合間、ふっと思いついて、窓から抜け出し板塀をよじ登って、納屋の大屋根のてっぺんにまたがって東の空から昇ってくる夏の夜明け前のオリオンを見た。もちろん徹夜で勉強してたわけじゃなく、宵の口から寝入ってしまって夜中の2時過ぎに起きだしてあわてて机にしがみついた次第。

あの頃は、まだまだ星もたくさん見えたけれど(夢も恋もいっぱい見えた?)今は光害のせいで都会の近くは数える程しか見えなくなってしまった。盆と正月は街の明かりやネオンを消してくれたらいいのにねえ。もっとも信州の田舎などで、天の川もみえるくらいになるともう星だらけで、どれが何の星やら星座もなんもわからず、ただボーッと見上げてるだけ。亡くなった母の星もどこかにあるかもしれないなあと。

昔、祖母が夜のことを夜さり(よさり)と言っていたのは大阪弁と思っていたが、由緒正しき日本語なのですね。日が沈んで立って待っているうちに月が上ってくるので「立待月」と…

冴えわびて覚むる枕に影見れば霜深き夜の有明けの月(藤原俊成女)

夜半に目が覚めてしまって眠れぬ夜はベランダに出て夜空を眺めよう。一番大きく光っているのは木星。そして冬の王者のオリオン。でも、ベランダの下の明るい街灯がまぶしくってかなわん。石投げたろか。

「夕間暮れ」「黄昏」「星月夜」「暁」「月の船」「麦星」「真珠星」などなど。美しいことばと写真と解説。ばらばらと寝床でめくって夢世界ヘどうぞ。

「宙ノ名前」  林完次  光琳社出版

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