《ハットトリックは帽子の手品?》
《ミステリーの中の人工内耳》
 勝手にコーヒーブレイク (2) 1998.08

“フランスや サポーター達が 夢の跡

あれだけ騒がれたのに今やW杯も何だかずいぶん前のような気がする。長野オリンピックなんてもう何年も前のように思いません?世の中の出来事や情報のサイクルが早くなって、熱しやすく醒めやすく…こっちはただでさえ年とともに1年があっという間に過ぎてしまうというのに、70歳(まだだいぶ先だし、80歳では生きているやら)になったらどないなることやら。

とはいうものの、私も熱くなりました。本物のサポーターには申し訳ないけど、サッカーの無党派層だね。サッカーいうたら、ボールをゴールに入れたら得点になることと、ボールを手でさわってはだめということくらいしか知らなかった私です。

普通はテレビでサッカーの試合を見ながら、アナウンサーがファウルだとかフリーキックだとか言うのを聞いて自然にルールを覚えていくんだろう。でも、いくらラペルマイクや、AISで聞いてもテレビはワーッという歓声ばかりで何言ってるんか… で、しかたないので図書館行って、子供向けのサッカーの本を読んだ次第。それでもわかったかどうだか。

サッカーが世界中でいちばん普及しているのは、球技スポーツのなかでいちばん簡単なルール(たった17条)だからだ。4年に1度のW杯はオリンピックをしのぐといわれる。

サッカーの歴史、W杯の事、ルール、世界のサッカー状況など、この夏ちょっとサッカーに目覚めた初心者、無党派におすすめ。願わくは、この知識を4年後の日韓W杯まで頭に残しておきたいけど…そら、無理というもんだ。

さて、私がいかに無知であるか、ハットトリックというのはヘディングでゴールに入れることだと思っていた。ハットって帽子でしょ。だから何となく…。

『新・サッカーへの招待』  大住良之 岩波新書


 滑り込みで、もう1冊紹介します。原稿は7月25日必着なのに、これを書いている今は24日。おまけにまだ最後まで読んでないという無責任さ。

でも、あなただって、1冊のアメリカのミステリー小説の344ぺージに「蝸牛移植とか言われてるものがあるの。内耳にチップを入れるんですって。それがワイヤーでスピーチ・プロセッサーに接続されていて、そのプロセッサーが音をインパルスに変えて脳に伝えるの」という会話に出会ったら、早いことみんなに言い触らしたくなること請け合い。

『静寂の叫び』は1997年のミステリー海外部門のベストテンに入った作品です。ミステリーといっても謎解きや推理小説じゃなくて、サスペンス。脱獄囚がろう学校のスクールバスを乗っ取り、人質にして廃工場に立てこもる。FBI危機管理チームは果たして無事人質を開放し、凶悪犯人を捕まえることができるか。

ろう学校の実習生のメアリーは幼い頃に(言語習得後)失聴、手話で成長して、言語を理解するが話せない。彼女は幼少時のピアノが忘れられず、音楽が聞きたい。恋人がささやく声を聞きたい。でも、先天性ろう者集団の中ではそういった考えは肩身が狭くて、いつも何となくおどおどしている。

人質開放までの犯人と交渉責任者の虚々実々のかけひきも、現実のドキュメンタリーのように真に迫っている。

主人公が聞こえないという設定を単なる物語の道具としてではなく、きっちりととらえ、アメリカのろう者や手話をめぐる状況がかいまみえて興味深かった。

ただ、この本、462ページの2段組ハードカバーなんで、ごろ寝して読むには重いし、字も細かくて、老眼間近の私の目はしょぼしょぼに…今度、駅前のデパートでJR忘れ物セールがあれば、老眼鏡を買わないとね。

さて、いよいよクライマックス!最後はいったいどうなるのでしよう。果たして、メアリーは無事に戻って来れるでしょうか。 ヒマと根気と体力のある人にオススメ!

『静寂の叫び』  ジェフリー・ディーバー 早川書房

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